この記事では、「労働者の権利と保護」について、主に、いわゆる「労働三権」と「労働三法」の内容を整理したいと思います。
なお、労働者の権利は、日本国憲法にも基本的人権のひとつとして規定されるものなので、憲法の条文も合わせて確認しておきます。
日本国憲法における「労働者の権利」
日本国憲法に規定されている「労働者の権利」は、大きく2つあります。
一つ目は、憲法第22条、いわゆる「職業選択の自由」です。基本的人権のひとつ「自由権」に該当するものです。
二つ目は、憲法第27条、いわゆる「勤労の権利」です。ここでは、合わせて「勤労の義務」も規定されています。これは基本的人権のひとつ「社会権」に該当するものですね。
まずは、労働者の権利というものは、すべての国民が有している「働く権利(勤労の権利)」であり、しかも、「どんな仕事を選ぶかはそれぞれ個人の自由(職業選択の自由)」ですよ、と憲法に規定された基本的人権だ、ということをおさえておきましょう。
「労働三権」とは?
ここでは、より具体的な「労働者の権利」の内容を確認していきます。いわゆる「労働三権」というものです。これは憲法第28条に規定された労働者の基本的な権利(労働基本権)です。
「労働三権」というぐらいですから、3つの権利があります。
②団体交渉権
③団体行動権
①団結権というのは、かんたんに言えば、「労働組合」を組織して良いよ、というものです。
例えば、何か仕事上の問題があったときに、労働者が個人で会社(経営者側)と話し合いをするのは何かと不安でしょう。風通しの良い会社だったとしても、やはり一社員が社長や役員と気軽に話ができるかといえば、必ずしもそうではない場合も多い。そんな時には、会社側との話し合いなどをするためのチームをみんなで作っておくと安心ですね。
さらに、何か労働問題が起こった時、その「労働組合」が会社側と話し合い(交渉)をしても良いですよ、というのが、②団体交渉権です。
もちろん、内容によっては、話し合い(交渉)が決裂してしまうこともあるでしょう。両者が一歩譲れないという場面では、話し合いだけでは解決できないこともあります。その際には、労働者側が、いわゆる「ストライキ」を起こしても良いですよ、というのが、③団体行動権です。
これらについては、名前が少し紛らわしいかもしれませんが、内容的には理解しやすいと思います。
かんたんにまとめると、
②チームで会社と話し合い(交渉)して良いよ!
③話し合い(交渉)がうまくいかなかったらストライキ(団体行動)して良いよ!
という感じです。
わかりやすいですね。
「労働三法」とは?
先ほどの「労働三権」を保障するために、憲法に基づいて3つの法律が規定されています。いわゆる「労働三法」というものです。
②労働関係調整法
③労働基準法
①の労働組合法は、憲法28条に基づいて「労働三権」を保障するための法律です。
②の労働関係調整法は、団体交渉(権)や団体行動(権)に関わるもので、労働者と使用者(会社など)との間で起こった労働問題を解決する方法について定められいるものです。
③の労働基準法が、一番なじみがあるかもしれませんね。基本的な労働条件(労働時間・休日・賃金など)について規定している法律です。また、この労働条件がきちんと守られているかどうかをチェックする機関が「労働基準監督署」です。「労基(ろうき)」という略称で呼ばれたりもする役所です。合わせて覚えておきましょう。
ちなみに、教科書や参考書などでは、「労働組合法」「労働基準法」「労働関係調整法」の順番で記載されていることが多いかもしれません。が、私としては、「労働三権」との関わりが深いのが「労働組合法」「労働関係調整法」ですので、順番を変えて覚えています。(※名前と内容が整理できれば、順番はあまり関係ないです(;’∀’))
労働者の権利・保護(労働三権・労働三法)【動画講座】
ここまで整理してきた「労働者の権利と保護」の内容を解説した動画です。記事と合わせてご覧ください。
※なお、動画内では、記事で紹介した「労働三権」「労働三法」の他に、プラスアルファの内容として、現在労働問題としてよく話題となるトピックをいくつか紹介しています。さらなる学習のため、あるいは、日頃のニュースなどをより深く理解するためのきっかけとしてご活用ください。
■効果的・効率的に「成果を出せる」勉強方法について知りたい方は、ぜひこちらの記事も合わせてご覧ください。タイトルに「中学生の勉強法」とありますが、小学生でも高校生でも(場合によっては大人でも)役に立つ内容になっています。