【中学社会(公民)】日本の選挙制度(選挙権・選挙区・政党)

ここでは、日本の選挙制度についてまとめていきます。

具体的には、選挙権と被選挙権の対象(年齢等)選挙制度(小選挙区制・比例代表制)政党、政党政治について取り上げます。なお、選挙制度の「比例代表制」で用いられる「ドント式」という議席の配分方法ついても、近年中学校の定期テストで度々出題が見られるので、合わせて整理しておきます。

 

なお、選挙権および被選挙権は日本国憲法の基本原則(三大原則)のひとつ「基本的人権」に含まれます。日本国憲法の原則や基本的人権については、別の記事にそれぞれまとめています。ぜひ合わせてご覧ください。

【中学社会(公民)】日本国憲法の基本原則(三大原則・三大義務・改正等)

 

【中学社会(公民)】基本的人権とは?(平等権・自由権・社会権 他)

 

選挙権の拡大

日本の選挙制度(選挙権の拡大)

まずは「選挙権」について整理しておきましょう。「選挙権」とは、選挙の際に投票する権利のことです。

 

歴史的にみれば、選挙はごく限られた人だけのものでしたが、徐々に選挙権が拡大し、現在は「18歳以上のすべての男女」に選挙権があります。現行の制度になるまでの変化について、重要な点を確認しておきます。

 

まずは、日本で最初に選挙が実施されたのが、1890年の第1回衆議院議員選挙です。この時、選挙権が認められていた人(有権者)は、「満25歳以上の男子で直接国税15円以上を納めた者」のみ、人口比率1.1%、約45万人の人でした。男子のみで、納税額という制限もありました。

 

その後、1925年に普通選挙法が成立、納税額の規定が撤廃され、有権者が「満25歳以上のすべて男子」となります。

さらに、1945年(大東亜戦争終結後)になって、選挙権は「満20歳以上のすべての男女」まで拡大します。ここで初めて女子にも選挙権が認められました。

ちなみに、現行の「満18歳以上のすべての男女」になったのは、2015年(平成27年)ですので、合わせて覚えておきましょう。

 

選挙権と被選挙権

日本の選挙制度(選挙権と被選挙権)

では、次に選挙権と被選挙権について整理しておきます。

選挙権については、すでに前項で確認した通り、「投票をする権利」と捉えておけば良いでしょう。有権者は「満18歳以上のすべての男女」です。

 

一方、被選挙権は「立候補できる権利」と捉えておけばOKです。被選挙権は、立候補する議員等の種別によって、年齢の違い(「満25歳以上」「満30歳以上」)がありますので、しっかり区別して覚えましょう。

 

まず、「満25歳以上」の人が立候補できるのが…

満25歳以上が立候補可能】
衆議院議員地方議会議員市町村長

 

「満30歳以上」が立候補できるのが…

【満30歳以上が立候補可能】
参議院議員都道府県知事

 

選挙の原則(4つの選挙)

日本の選挙制度(選挙の原則)

では、次に、選挙の原則について整理しておきます。ここでは、4つの選挙の原則が登場します。どれも重要で、定期テストや入試などでも度々出題される用語です。しっかりと覚えましょう。

 

まずは、冒頭の「選挙権の拡大」の部分で紹介した法律の名前にもありますが、「普通選挙」という原則があります。「普通」というのは「一定の年齢に達した人すべて」という意味で、現行では「満18歳以上」という年齢以外の制限はない選挙を「普通選挙」と言います。

 

次に、「直接選挙」です。これは読んで字のごとく有権者が「直接」投票する選挙のことです。

 

三つ目は「平等選挙」。これもイメージしやすいと思いますが、有権者が一人一票の投票をする選挙を「平等選挙」といいます。特定の役職にある人、お金持ちはたくさんの票を投票できるわけではありません。すべての有権者が平等だということです。

 

最後は「秘密選挙」です。何が秘密なのかと言えば、「誰が」投票したのか、投票した人の氏名が秘密にされます。投票した人の名前を記入しない「無記名投票」が原則となっています。

 

最初の「普通選挙」が、言葉から内容をイメージしにくい気がしますが、どうでしょうか。4つの原則は重要な用語なので、それぞれの内容ととも名称も正確に暗記しましょう。

 

選挙制度(小選挙区制・比例代表制)

日本の選挙制度(選挙制度)

選挙制度として、まずは、現行の衆議院議員選挙の方法を確認しておきます。

現在の衆議院議員選挙では、「小選挙区制」「比例代表制」という、大きく2つの方法があり、それらを併用した選挙(小選挙区比例代表並立制)が行われています。それぞれ具体的にどんな方法で議員を選出するのか、確認しておきましょう。

 

小選挙区制:1つの選挙区から1名を選出する
比例代表制:各政党の得票数に応じて議席を配分する(ドント式)

 

比例代表制は、各政党の得票数に応じて議席を配分するのですが、その際に「ドント式」という方法が用いられています。この「ドント式」については、次のパートで具体的にお話しします。

 

なお、参議院議員選挙では、立候補者個人を選出する「選挙区制」と政党に投票し、各政党の得票数に応じて議席が配分される「比例代表制」が併用されています。「小選挙区制」とは異なる「選挙区」が用いられますが、概ね同じような方法で議員が選出される選挙制度となっています。

 

比例代表制(ドント式)の議席の配分方法

日本の選挙制度(比例代表制・ドント式)

ここでは、「比例代表制」で用いられる「ドント式」という議席の配分方法についてまとめておきます。

 

ドント式による議席配分の手順
①各政党の得票数を「1・2・3…」と自然数で割る
②商の大きい順に当選を確定する

 

上の手順を具体的な数字を使って確認していきます。(上の画像を参照してください)

例えば、ある3つの政党(A党、B党、C党)がそれぞれ57,000票、39,000票、27,000票を得票したとします。

それぞれの得票数を「1・2・3…」と自然数で割ります。

商(わり算の答え)を並べて、大きい順に議席を配分していきます。ここでは、仮に5つの議席を配分する場合を考えます。

最も大きい商は、A党の得票数を1で割った57,000です。この時点でA党に1議席の当選が決まります。次が、B党の得票数を1で割った39,000、3つ目がA党の得票数を2で割った28,500です。4番目に大きいのが、C党の得票数を1で割った27,000で、最後の5番目が、B党の得票数を2で割った19,500となります。

以上をまとめると、それぞれの政党に配分された議席数は、A党が2議席、B党が2議席、C党が1議席となります。

 

政党・政党政治について

日本の選挙制度(政党・政党政治)

現在の日本では、自由民主党や立憲民主党などの政党によって議会政治を行う「政党政治」という方法がとられています。

また、選挙で選出された国会議員の中から、内閣総理大臣やその他の国務大臣などが選ばれて、内閣を組織しています。このように内閣の基礎が国会に置かれる制度(内閣は国会の信任に基づいて成立し、国会に対して連帯して責任を負うしくみ)を「議院内閣制」といいます。

 

これらのことから、選挙によって議会(国会)の多数を占める政党が政権(内閣)を組織することになります。選挙の結果、議会(国会)の多数を占める政党を与党それ以外の政党を野党と呼びます。

 

現在の日本では、自由民主党が国会の多数を占める政党であり、自由民主党(自民党)のトップ(総裁)が内閣総理大臣になることが多い状態です。ただし、自民党が単独で政権を担っているわけではなく、長らく公明党という政党とともに内閣を組織してきました。このように複数の政党によって成立する政権(内閣)を連立政権(連立内閣)といいます。

 

【動画講座】日本の選挙制度

ここまでの内容をまとめた動画講座です。ぜひ合わせてご覧ください。

【社会】地歴公民講座 動画講座一覧

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