作文・小論文などの書き方指導を常にやっていると、年に何度か「大人」の生徒さんがいらっしゃいます。
看護学校の入試小論文対策とか、大学院入試などが多いのでしょうか。
そんな「大人」の生徒さんは、多くの場合成長スピードがものすごい早い。
いや、これは「大人」だからということは決してないのですが、成長スピードが早い人には、共通の特徴があります。
逆に、これがない人はやはり成長が遅い。
遅いというか、中長期的に成長することが難しいです。
彼らに共通の特徴とは何なのでしょうか?
やると決めてやる!最初の一歩は目的意識を持つこと
恥ずかしいことなんてない!ダメもとでも飛び込む勇気!
以前、就職のため?に作文(小論文)の試験があるという、「大人」の女性がいらっしゃったことがあります。
これまでパートタイムで事務の仕事をされていたようですが、お子様の成人、就職を機に常勤の正規職員としての仕事を再開しようと就職活動中の方でした。
「『大人』でも大丈夫ですか?」
と、ホームページをみてお電話をくださいました。
サイトを見るかぎり、子ども向けの塾丸だしですから、何となく気まずそうというか、気恥ずかしそうに、「ダメもとで」という形でのお問い合わせだったそうです。
すでに大人の方への作文指導は何例も経験していたので、時間の調整ができれば可能だとお伝えしたところ、
「今から行っても大丈夫ですか?」
と。
かなりビックリした反面、このように「前のめり」な方の気持ちは、ぜひともくみ取らないといけないとも思わされ、お問い合わせを頂戴したその日の夜、中高生の授業が終わったあとに面談をすることになりました。
今のレベルは関係ない!大切なのは「やる気」と「覚悟」
お話を聞くと、これまで学生の時から「作文」は苦手で、何から手をつけてよいかさっぱりイメージがわかないとのこと。
今回の依頼は、書類(履歴書など)と同封して提出する、作文の書き方を教えてほしいというものでしたので、予め書くべき「お題」もわかっているものだったので、手始めに「お題」について、今ある知識や経験談など、ざっくりメモをしてもらいました。
小学生で作文が苦手という方はこの時点で手が止まってしまうという人もたくさんいますが、そこは大人ですから、いくつかはさらさらと書くことができます。とはいえ、箇条書きで3つ、4つ程度。。。
たしかに、慣れていない。
提出は数日後ということで、その場でざっくりとアイデアの出し方、構成の仕方など、概略的なことをレクチャーしながら、実際の「お題」に対するポイントをまとめ、執筆と添削はメールでやりとりすることにしました。
レクチャーしている間、はじめのうちは、「難しい」「どうしよう」「先生のようにすらすらと考えが出せません」などと連呼されていました。
前途多難な大人の作文指導でしたが、その後、別の2~3題の作文に取り組んだあたりから、見違えるほど書けるようになっていきました。
就職を希望されている仕事は、そもそも募集人数が極端に少なく、競争率がかなり高いとのことで、はじめに応募したものは残念ながら不採用となってしまいました。
しかし、最終的に、第1志望の仕事ではなかったのですが、無事に採用を勝ち取り、そのことをうれしそうに報告しに来てくださいました。
この方の素晴らしいところは、弱気な発言や不安感を口にしながらも、
「じゃあちょっとやってみます」
「こんな感じでもいいんですかね!?」
と決して行動をやめず、疑問があるところはすぐに質問するという姿勢が一貫してあったところです。
苦手な作業をする場合や初めてやることに対して、多くの場合、人は不安感が強くなり、弱気にもなります。だからこそ、行動がたどたどしく、続けることができないこともしばしば。
そういう方を励まし、何とか行動を続けてもらえるようにするのも講師の仕事ではありますが、その部分は最終的には、自分がどうするか、やるかやらないか、ただそれだけです。
「初心者だから」
「慣れてないから」
「うまくできないから」
「何となく不安で」
そんなの当たり前です。
「初心者で、慣れてなくて、うまく出来なくて、不安」だから、誰かに習いに行こうとしているのです。だからこそ、うまく出来るように自分を磨こうとしているのです。
できなくて当たり前、うまくできなくて当たり前!
なのに、多くの人は、そのことを理由に行動をしなかったり、続けることができなくなります。
もったいない。
何かをはじめようと最初の一歩をふみ出したのであれば、そこで必要なのは、「よし、やってみよう!」「ぜったいにやってやるぞ!」という「やる気」と「覚悟」。
それがあるからこそ、講師は全力で応援できるのです。その気持ちをくんで、「こうすると良いよ」「それならこっちの方がうまくいくよ」という風に、道しるべとなれるのです。
もっと極端にいえば、初心者や初学者は「やる気」と「覚悟」以外に何もいらない。
いや、何もなくて当たり前。
いや、それがなければどうすることもできない。
これは大人だろうと子どもだろうと一緒です。
子どもの場合だと、コロコロと塾を変えるだけの人にけっこう出会います。
残念ながら、僕の目の前も通り過ぎるように、すぐにどこか別の塾に行かれる方もいます。
多くの場合、そうした方は、肝心なことに気づかれないままなので、おそらく思うように結果が出ないままなのでしょう。
本当にもったいない。
せっかく自分で行動を起こしたのに。。。
結果を出すために必要な3つの要素!
かんたんにまとめると、しっかりと行動を継続できて、成果が出せる人の特徴は・・・
1.「覚悟」「やる気」を持って最初の一方をふみ出せること
今回の事例で、「大人」の生徒さんは、自分にとって作文の書き方を習うことが必要だということから、教えてもらえるところを検索するという最初の一歩をふみ出しました。
さらに言えば、検索で出てきた良さそうな教室が見つかったけど、そこはどうやら子どもたち向けの塾のようだが、それでも「ダメもと」で電話して聞いてみるという行動に出ました。
多くの人は、ここですでに勝手に諦めてしまうかもしれませんね。
「なんか良さそうだけど、子ども向けっぽいし、大人はきっと無理だよね・・・」
聞いてみて「無理」だと言われたら他の選択肢を考える必要がありますが、まだ聞いてみてもいないのに、勝手に自分で「できない理由」「やらない理由」をつくりあげてしまうなんて、本当にただただモッタイナイだけです。
最初はできなくて当たり前。
根拠なんてなくて当たり前。
自信なんてなくて当たり前。
だから本当に最初は「えい!」と飛び込む勇気、覚悟があればそれでいいのです。
いや、むしろそこしかないはずです。
2.「前のめり」になる行動力
今回の事例では、この方は、最初に電話で問い合わせをしてから、わずか数時間後、その日のうちにアポを取りつけ、直接指導してもらう機会を自分で勝ち取りました。
さらに、授業中も弱気な発言や質問のレベルに達していない質問もありましたが、それでも前向きに行動すること、言われたことをレベルは低くても素直に実践してみることだけはやめませんでした。
もう、これだけで成果が出ることは、火を見るよりも明らかなわけです。
だって、本当に大事なことがしっかりとできているわけですから。結果が出ない方がおかしいわけです。
この段階でも、多くの人は「できない理由」「やらない理由」「やれなくて当然な理由」をそれらしく作り上げて、自分を正当化してしまいます。
「はじめてだから」
「苦手だから」
「子どもだから」
「大人だから」
そんなの指導者側からすれば当たり前で、わざわざ言葉にしてもらわなくても十分過ぎるほどわかっていることです。
いやいや、そもそも、そうだから私の前に来たんでしょ!?
だから、そんな言い訳めいたことは言うだけ時間の無駄です。それを作り上げて言葉にするカロリーの無駄です。
だって、当たり前のことだから。
だったら、その間に「どうすればできるようになるだろう」と考えた方がいいわけです。
3.「やる気」「行動」もすべては「目的意識」しだい!
「やる気」や「覚悟」、素直な「行動」など、さらにいえば、結果を出すには行動を「継続」することが大事なわけですが、これらを支えるもの、一番根本にある最も大事なことが「目的意識」です。
なぜそうするのか。
なぜ結果を出したいのか。
結果を出すとどうなるのか。
どんな自分になりたいのか。
そういう「目的」がはっきりとしていれば、少々辛いことでも乗り越えられるわけです。
勉強の場合は、多くの人が「テストで点を取る」「良い成績を取る」ことを目的にしています。
でも、だからこそ勉強が辛いままで、テストでも点が取れず、良い成績が取れないのです。
勉強をして、苦手を克服して、その先のレベルアップした自分、その先の明るい未来を期待できるからこそ、辛い訓練を乗りこえられるのです。訓練が続けられた当然の結果としてテストの点が上がるし、成績も上がるのです。
この理屈がわかっていない人、ただ単に点数だけを追ってしまっている人は、テストの点や成績はなかなか上がりません。それは、正しい行動が続けられないからです。そもそも最初の一歩の行動さえできない人も多いです。
その状態では、たとえ短期的に数字が上がったとしても、決して自分が正しく成長できてわけではないので、別の試練にぶつかったときには、またどうすれば良いのか分からず、いつまでたっても誰かの助けがなくては前に進めなくなってしまいます。
講師をやっていると、多くの生徒さんに「先生のおかげで・・・」と言ってもらうことがたくさんあります。この言葉はうれしい反面、心配にもなります。
単なるお礼として言っている人は良いのですが、中には本当に先生に依存しきってしまって、いつまでたっても「先生がいないとできない」状態のままの人もいます。
それで何とかなっているうちは良いのですが、これが大人になって、自分で自分の人生決めなければいけなくなったら、どうするのでしょうか。
単にテストや成績、作文課題の提出ということがゴールであれば、それが叶えばそれで良いのかもしれません。でも、勉強というのは、本当にやるべき勉強は、そんな目先のテストの点数ではありません。
テストの点数はあくまでも自分を知るための一時の数値でしかありません。
自分の行動が正しく積み重ねられているかの目安でしかありません。
そんな数字が一時の、仮のゴールだったとしても、本当のゴール・目的であっていいはずがありません。
本当のゴール・目的はその先にあるはずです。
それが何なのかは人それぞれで良いでしょう。
でも、それは「自分の成長」「自分のレベルアップ」であることはみんなに共通のことだとも思います。
時に辛いかもしれない「自分の成長」のための行動、最初の一歩であっても、ゴールにたどりつく瞬間の一歩であっても、それを強く支えるのは「目的意識」です。
未来にどんな自分をイメージするのか。
それをすることで何を手にできるのか、どんな自分になれるのか、それが肝心なのです。
目先の、表面的なテクニックや、1つ1つの教科の問題が解ける・解けないなんてのは、ホント二の次三の次。
ぜひ、考えてみましょう。
あなたは何のために学ぶのか。
あなたは何のために行動するのか。
その先の未来にどんな自分がいるとわくわく・ドキドキするか。
それが成果を出すために本当に大事なことです。