【読解力】どんな学習でも最初に習得すべきは言葉(漢字)と文法!

文章の読み書き(読解力・作文力など)について、特に力を入れて指導していることもあり、小中学生はもちろん、大人の方からも、作文・小論文の書き方や文章読解に関するお問合せを頂くことがたくさんあります。

もちろん、小中学生の教科の学習について、特に、国語や英語の文章(長文)読解問題の解き方がわからない、という質問・相談を受けることもたくさんあります。

 

そうした方々の中には、ある共通点が見受けられます。

 

そこで、今回は、文章の読解力を向上させるため、作文・小論文などの文章作成力を向上させるために必要な基礎・基本についてお話をしていきます。

ちなみに、今回の内容は、文章の読解力・作文力に限らず、あらゆる教科の、あらゆる学習において、基礎・基本となる事柄です。

その意味では、例えば、小中高生で、数学の文章題が苦手という人、理科や社会の問題の意味がよく分からない、あるいは、教科書の記述が自分で読み取れないという人にとっても必須の内容となっています。

ぜひ、ご自身の学習を改善するための参考にしてみてください。

 

読解力向上の基礎・基本①「ことば」(語彙力)

あらゆる学習が「日本語」で行われている

当たり前のことですが、学校の勉強でも、漢検・英検などの検定試験や資格試験でも、日本語話者が日本国内で学習する際には、「日本語」を使って学習します。

日本での学習では、教科書・参考書類も日本語で書かれている場合がほとんどです。学校や塾、予備校などで授業を受けるとしても、共通言語は「日本語」の場合がほとんどですね。

ですから、日本語を「読む力」「書く力」「聞く力」「話す力」なくして、学習を効果的に進めることはできません。

 

日本語を「読む力」「書く力」「聞く力」「話す力」と言われると、「国語」を思い浮かべる方が多いかもしれません。特に、小中高生の学習は教科の枠組みがあり、教科毎に学習を進めていくことが多いので、そう思うのも無理はありません。

しかし、日本語を「読む力」「書く力」「聞く力」「話す力」が必要になるのは、「国語」という教科だけではないのです。

 

例えば、小中高生の学習において、算数や数学でも、問題の文章が読めない=何を聞かれているか(問われているか)わからない、だから、答えられない(問題が解けない)という場合が多くあります。

単純な計算(ドリル)問題はできていて、さまざまな法則(計算方法・思考方法)がわかっていても、問題(文章)の意味がわからなければ、正確に解く(答える)ことはできません。

 

あるいは、教科書の記述が自分ひとりでは読み解けない、という人も意外と多くいます。これまで小中高生の指導をしてきて、「これどういう意味ですか?」「何が書かれているの?」という質問を受けたのは、決してひとりやふたりではありません。つまり、多くの人が、文章を読む経験が不足している、あるいは、語彙力が不足しているのです。

 

さらにいえば、語彙力の中でも、特に注目しておきたいのが、日本語の場合は「漢字」です。

 

「漢字」の習得が必須である理由

日本語は、アルファベットのみを使う英語と違って、数種類の文字が使われる言語です。代表的なものを挙げれば、漢字、ひらがな、カタカナです。

しかも、文章読解、つまり、文章の意味を読み解く上では、漢字(熟語)の意味がわかる、というのが不可欠な要素となります。漢字は「表意文字」と言われるように、1つ1つに意味があります。ですから、それぞれの漢字の意味がわからなければ、文あるいは文章の意味がはっきり分からないというのは、当然といえば当然のことなのです。

もちろん、すべての漢字や熟語の意味を知る必要はありませんが、少なくとも基本的な漢字(常用漢字レベル)は習得しておくべきです。そうすれば、知らない漢字・熟語に出会っても、その意味をある程度類推することができます。

 

この漢字の重要性について、現役東大生の西岡壱誠さん(『ドラゴン桜2』(講談社)の編集担当、TBS系ドラマ「日曜劇場『ドラゴン桜』」の脚本・監修者)が、「東大生が断言『勉強は絶対漢字から着手すべき』訳」(東洋経済オンライン)という記事を書かれています。

たいへん参考になるので、ぜひご覧ください。

 

さて、上記の記事にもある通り、文章の読解や作文において、漢字をはじめとした語彙力を上げていくのは、必須であり、まず最初に取り組みべきことです。そして、それは、文章読解や作文だけでなく、小中高生の教科の学習をはじめ、入試や検定試験、資格試験などを含めた様々なタイプの学習においても必要なことです。

 

何かの学習をする際、教科や専門分野に応じた用語や法則、考え方などを専用の問題集や参考書を使って覚えたり、練習問題を解いたりしていくと思います。というより、そういう行動こそが学習だと思っている人が多いのではないでしょうか。

もちろん、そうした専門分野の内容を学習することは大事です。しかし、その大前提となる部分として、漢字や語句、文の構造(文法)に関する知識が不足している、だからこそ、専門的な学習が効果的・効率的に進められないという場合が多いこともまた事実なのです。

漢字や語句、文法などは、ある意味で当たり前のことだからか、「国語」という教科の勉強以外では、あまり注目しない人がたくさんいます。でも、もしかすると、あなたの学習がうまく進められていない理由・原因が、実は、日本語の知識(漢字や語句、基礎的な文法など)にあるかもしれません。

 

では、次に「文法」についてお話していきます。

 

読解力向上の基礎・基本②「文法」(主語ー述語)

さて、文や文章を読み解く上で、漢字をはじめとした語句の知識(語彙力)が欠かせないのですが、同時に、文の構造や文章の展開についての知識も不可欠なものです。いわゆる「文法」というやつです。

「文法」と聞くと、それだけで苦手意識が前面に出てきてしまう人もいるようですが、何も重箱の隅をつつくような細かい文法的知識が必要というわけではありません。ただ、少なくとも、一文の意味を正確に理解するために必要な知識は習得しておくべきでしょう。

 

読解力について、話題となった書籍に、新井紀子さんの「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」「AIに負けない子どもを育てる」(共に、東洋経済新報社)があります。

これら書籍の中で紹介されているもので、有名な読解力テスト(リーディングスキルテスト)のひとつに以下のようなものがあります。ご存知の方もいらっしゃると思いますが、ぜひ改めて見直してみてください。

 

【問題文】
アミラーゼという酵素はグルコースがつながってできたデンプンを分解するが、同じグルコースからできていても形が違うセルロースは分解できない。

【問】この文脈において、以下の文中の空欄にあてはまる最も適当なものを選択肢のうちから1つ選びなさい。

グルコースからできているのは、デンプンと(  )である。

①セルロース ②アミラーゼ ③酵素 ④形

新井紀子「AIに負けない子どもを育てる」(東洋経済新報社)

 

この問題では、まさに、文の構造に関する基礎的な知識である「主語-述語」「修飾語」がしっかりと把握できているかを問う問題です。実は、大人でも間違えてしまう人がいるようです。

 

近年は、活字離れなどもあり、キーワード(単語)のみを認識して、文を正確に読めていない人も増えているようです。当然ですが、単語の意味だけを理解していても、この文の意味は正確には解りません。そういう読み方をしているのであれば、上の問題が解けないというのは、ごく当たり前のことです。

つまり、語彙力はあったとしても、それらが「文」で活用されている場合、「文」の構造が理解できていなければ、正確な読解はできていないということになってしまうのです。

 

文の構造の基礎的な文法の中でも、「主語」と「述語」(主述の関係)は、一文の核=骨組みとなる要素です。だから、これが正確に把握できなければ、一文の意味が理解できないということになります。一文が理解できないのであれば、当然、文章の意味が理解できないということになってしまいます。

ですから、読解力や作文力を向上させたい、あるいは、他の教科の学習を効果的・効率的に進めるためには、漢字をはじめとした語句とともに、「主語-述語」などの文の構造を理解するための文法の知識の習得が不可欠になります。

 

読解力を上げるためのおすすめの方法(基礎訓練)

さて、読解力を向上させたり、学習を効果的・効率的に進めるには、何よりもまず「語彙力」が重要であるとお話ししました。

では、最後に、その「語彙力」を上げるためのおすすめの方法を紹介しておきたいと思います。

 

語彙力を上げるためには、当然ですが、多くの言葉にふれる機会を増やすことが重要です。そのためには、さまざまな文章を読み、知らない言葉に出会ったり、知っているけど微妙に違う使い方をしていたりするものに出会ったりする経験を増やすことが大切です。

 

特に、文章の読解力向上という点では、さまざまな言葉の知識はもちろん、同義語や対義語などの知識を増やすこともかなり有効な方法です。

というのも、国語の文章問題、論説文などは、筆者の考え(主張)を様々な根拠や事例を紹介しながら、相手(読者)に説得的に語る文章です。同じことを言葉を変えて何度も説明したり、反対の内容を説明することで言いたいことを明確にするという特徴があります。

ですから、同義語や対義語を知らないと、ある文が筆者の考えと同義のものなのか、反対の内容になっているのかが判別できないということになってしまいます。それでは、文章の意味を正確に把握することはできません。

実際の文章を読む際には、同義語や対義語をチェックしてみることを忘れずにやってみてください。文章の内容を読むというより、同義語と対義語だけをチェックしてみるというのも大変勉強になりますので、ぜひ取り組んでみてください。

 

そして、もっとおすすめの方法が「辞書サーフィン」です。

辞書は、ある言葉を別の言葉を使って説明するツールです。つまり、その説明の中には、別の言葉が使われているということになります。

ただし、中には意味の説明で使われている言葉の意味がわからない、という場合も出てきます。その際に、意味の説明で使われている言葉を調べ直してみるのです。すると、また別の言葉が登場します。そこで、またその言葉を調べ直してみる・・・

そんな風にして、次から次へと言葉を辞書で引いていくことで、さまざまな言葉に出会うことができます。

 

ネットの記事を次から次へと開いて読んでいくことを「ネットサーフィン」と言いますが、それになぞらえて「辞書サーフィン」と読んでいます。

これは、私自身が大学生のときに、授業の空き時間を利用して図書館でよくやっていた勉強方法です。

その時は、いわゆる国語辞典ではなく、専門的な辞典を使った「辞書サーフィン」でしたが、未知の専門分野の用語を短期間で効率良く習得するためには、たいへん役に立った学習方法です。

辞書は、単語の意味以外にも、実に多くの情報が記載されています。単純に意味を調べるためのツールとしてではなく、読み物のひとつとして学習に取り入れると、学習効果・効率は間違いなく上がるでしょう。少なくとも、私自身が「辞書サーフィン」を取り入れることで、効果的・効率的に学習を進めることができました。

世の中には様々な辞書があるので、どんな分野の学習でも有効だと思います。が、小中高生であれば、特に日本語の語彙力を上げることが必須ですから、国語辞書を使って「辞書サーフィン」をやってみてください。

 

ちなみに、「辞書サーフィン」をやる際は、やはり紙の辞書を使う方が良いでしょう。電子辞書でも良いですが、電子辞書はやはりキーワード検索と同じで、ピンポイントである単語の意味を調べるためには有効ですが、語彙力を上げるためには紙辞書に劣ると思われます。

なぜなら、紙の場合は、目当ての語句に行きつくまでに、様々な、別のことばが目に入ってきます。実は、そうしたまたまた目に入って、気になった言葉に注目してみるというのも、学習を進める上では非常に重要なことなのです。

 

ぜひ、あなたの学習の質を上げるため、読解力を向上させるため、「辞書サーフィン」を取り入れてみてください。


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